女の友情なんてない?それとも…?
女性の皆さん、ご友人はいますか?
私は引っ越しの多い半生だったため、友だちはほぼいません。
性格によるものなのか、それをあまり寂しいとも思わず日々を過ごしています。
今日は、ある小説をご紹介しつつ、女の友情について書いてみたいと思います。
篠田節子『天窓のある家』
篠田節子氏といえば『女たちのジハード』が頭に浮かぶ人も少なくないかもしれませんね。
私も若かりし頃、夢中になって読みました。
篠田節子氏の作品は、それ以降あまり手にとっていなかったのですが、先日、大学の図書館でふと目に入り借りてみることにしました。
それが、『天窓のある家』という短編集です。
短編集なので、いろんな作品が収められているのですが、ズバリ表題作である『天窓のある家』がいちばん胸に刺さりました。
ネタバレなしで、触りの部分だけご紹介しますね。
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秀子と香はかつての級友で、現在は共に30代後半である。
秀子は物事を突き詰めて考えるのが好きで、白黒はっきりさせたいタイプ。
一方、香は可愛らしくて物事を深く考えるのを嫌うタイプ。
二人は時を経て、隣人として再会することになる。
というのも、香が暮らす天窓付き豪邸の隣に建った安普請のアパートに、偶然秀子が引っ越してきたから。
秀子がそのアパートに引っ越してきたのは、離婚したうえ、勤め先を解雇されたからであった。
再会した香は、ハンサムな歯科医を夫にもち、何不自由なく暮らす専業主婦となっていた。
およそ共通点などなさそうな二人だが、ある日、香の夫の不倫疑惑が浮上したことから、距離が縮まる。
自分の離婚原因が夫の浮気であった秀子は、香に対してこれまで感じたことのなかったような友情を感じ、なんとかしてあげたいと望むのであった。。。
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ネタバレを防ぐために結論は書きませんが、この作品のキーとなっているのは、秀子の香に対する「過干渉」と「正義の押し付け」です。
秀子は、元夫の不倫疑惑が浮上した際、夫をとことん問い詰めました。
でも、香は「物事を深く考えるのを嫌う」タイプ。
夫のことを問い詰めて、白黒付けたいとは思っていないわけです。
秀子は、そんな香を見てイラつきます。
「ごまかすのはよくないわ。自分の心も自分の人生もごまかすってことだもの」と秀子は香に告げるのです。
女の友情が成立するとすれば
『天窓のある家』を読んでいて思ったのは、女の友情が成立するには、次の2点が必要なのでは?ということでした。
- 干渉しない(ほどよい距離感を保つ)
- 違いを認める
秀子のような真面目でお節介なタイプの人ほど、「あの人、あのままじゃダメだわ!私がなんとかしてあげないと!」などと思ってしまいそうです。
でもそれでは相手は逃げてしまいます。
そして、相手との性格や考え方の違いを認められないと、相手を許せなくなったり、相手を下に見るようになってしまう気がします。
これでは友情が成立するはずもありませんよね。
先日の記事でも触れましたが、「人間関係をうまくやる唯一のコツは、相手との違いに目をつむること」だそうです。
確かにそのとおりなのかも!と思っています。
秀子は香と自分の性格の「違い」に目をつむることができず、香に対して自分の「正義」を押し付けてしまいました。
「正義の押し付け」は、コロナ禍の日本でも問題視されていますよね…
相手は相手。
自分は自分。
ほどよい距離感を保ち相手に干渉せず、違いを認め、対等に接することができれば、女の友情も成立するのかもしれませんね。
今回ご紹介した『天窓のある家』。共感を抱きやすい人物設定であるうえ、読了後に驚くべきインパクトを残す作品なので、興味のある方はぜひ!(刺激に弱い方にはオススメしません)
9つの短編が収められているのですが、ひとつ目の『友と豆腐とベーゼンドルファー』もかなり面白かったです!
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
皆さん良い一日をお過ごしくださいね😊
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