【授業のコツ】皆の前で○○はダメ!大学で授業をする際に、これだけはしない方がいいと思うこと
先日、「大学で授業をする際に心がけていること」という題名の記事を書きました。
今日はその逆。
教壇に立つ人が授業中にするべきではないと個人的に考えていることについてお話したいと思います。
ワタシは大学で授業を受け持っているので大学の話をしていますが、小・中・高校や塾等にも当てはめて考えることは可能だと思います。
ぜひ、ご参考までに目を通していただけたら嬉しいです。
授業をする際にしない方がいいこと
「皆の前で」叱る・罵倒する
ワタシは、教える側の人間は学生を皆の前で叱るべきではないと考えています。
「そんなの甘い」と思われますか?
しかし、他の人間の前で、ひとりの学生を攻撃しても良いことはないように思えます。
先生が生徒や学生を叱りたくなるシチュエーションというのは、ままあります。
ワタシは大学講師なので、小学校や中学校の先生ほど学生の生活態度を注意する機会はありません。
大学生を叱るシチュエーションとしては、次が考えられます。
- 遅刻が多い
- 宿題をしてこない
- 授業中私語が多い
- 試験中のカンニング
最後の点については、叱るというよりは即退場ものですが。
1つ目と2つ目については、その学生の単位取得が危うくなるだけで、いわば自業自得なので放っておきます。
問題は3つ目です。
私語をされると、真面目に受講している周りの学生たちに迷惑が及びます。
不真面目な学生だけが不利益を被るのならまだしも、何の罪もない他の子たちの学習に支障をきたすようではいけない。
これはなんとかしなければなりません。
授業中の私語
よく学園ドラマを見ていると、「そこ!うるさいぞ!」と先生がガミガミ注意したり、チョークを投げたりしていますね。
で、学生たちは「っるせーよ!先コー!(古っ)」とヒソヒソ仲間内で呟きます。
「敵意で応じると、敵意で返ってくる」
ワタシはなんとなくそう思っています。
前回の「講師が授業中にどんどんやるべきこと」で書きましたが、
人間には元来「自分の価値を周りに認められたい」という自然な欲求があります。
すなわち、周りから「あの人すごい!」と思われたい欲求です。
ところが、他の人たちの前で叱責してしまうと、その学生には「あの人すごい」どころか「あいつは先生から叱られるダメなやつだ」という評価がくだってしまいます。
すると、その学生は「自分の価値を貶めたやつ」としてその先生を見るようになります。
つまり、その学生にとって、その先生は「敵」になります。
これではもう、先生側から何を言ってもその学生が聞き入れることはないでしょう。
表面的には聞き入れたフリをしていたとしても、心のなかではその先生のことを嫌っていることでしょう。
ワタシの体験談
敵意を生むのは、皆の前での叱責だけではありません。
皆の前での罵倒や過度の指摘もです。
ワタシには今でも忘れられない大学の先生がいます。
悪い意味でです。
海外の文学作品を講読する授業でのことでした。
突然指名され、
「○○というドラマにこのようなシーンが出てきましたね?」
と言われました。
ワタシはそのドラマを見たことも聞いたこともなかったので、素直にその旨を述べました。するとその先生は、
「このクラスに、○○を知らないなんていうやつがいるとは!!!」
と、怒鳴り始めたのです。
そんなの、ワタシの知ったことではありません。
どんなドラマを見ようが見まいが、こっちの勝手です。
その先生は文学の大家だから、その国の文化についていろんなことを知っているのでしょうが、ワタシにしてみれば、他にもやるべきことが山程あるのです。
「なんて横暴な、偏狭な人なんだろう」
一発で大嫌いになりましたね。
思えば、二人でいるときにそう言われたのなら言い返せたかもしれません。
けれど、授業中に皆の前で言われてしまったため、恥ずかしくて何も言えませんでした。
その先生にはそれだけではなく、勝手な決めつけで何度も皆の前で怒鳴られました。
本当にだいっきらいでしたね(笑)
でも、文学の大家とかいう社会的地位に惹かれてか、その先生のことを崇拝している人たちもいました。
その人たちから見れば、ワタシはしょうもないアホに見えたことでしょう。
でもワタシからすれば、なんて見る目のない人たちなんだろうという感じでした。
皆の前で叱る代わりにどうするか
これまで皆の前で叱ることが学生側に敵意を生むことを、個人的な体験談を通じてお話してきました。
そうはいっても、授業中の私語を放っておくわけにはいきません。
ではどうするか。
ワタシは次のようにしています。
初対面のときに、「私語が嫌いであること」なぜなら「周りの真面目に取り組んでいる学生たちに迷惑を及ぼすから」ということをよくよく説明しておきます。
はじめの1,2回はみな緊張しているので、たいてい静かです。
慣れてきた頃に私語が始まります。
そういうときには「あ、そのあたりの君たち!何を話しているのかな?」と冗談まじりに指摘します。
ここで大事なのは、「○○くん!」などと個人名を出さないことです。
なんとなくこのあたりからおしゃべりが聞こえた、ということを伝えるに留めます。
そして、次の授業の冒頭に、再び「私語が嫌いであること」なぜなら「周りの真面目に取り組んでいる学生たちに迷惑を及ぼすから」ということを説明します。
このときも決して個人名は挙げません。
これを繰り返していくと、私語はほぼ抑え込むことができます。
つまり、学生の敵になるのではなく、味方になるということです。
こちらが味方であるという姿勢を示せば、学生たちもこちらの味方になってくれようとしてくれます。
こちらの味方になることとは、すなわちワタシの嫌いなこと=私語をしない、ということになるわけです。
この他には次のような対応をしています。
ワタシは授業中に寝ている学生がいたとしても、決して怒りません。
そして何かの折に「みんなアルバイトとかで大変なんだよね。疲れてるんだと思う。でもせっかくここまで頑張って通ってきているんだから、この○○分間だけは集中してみよう!」と伝えます。
また、授業中に内職(他の授業の宿題や試験対策などをしていること)をしている学生がいた場合も、決して叱りません。
機会をうかがって近くに忍び寄り、内職している教材を指さし、小声でそっと「これは、何かな~?」と言います。
すると、その学生はたいてい「すみません」と言って片付けてくれます。
まぁ、個人的には内職というのは静かにするものですし、ワタシの授業が理解できなくなって最終試験の点数がおぼつかなくなったとしても、それは自己責任だと思っています。
ドライだと思われますかね?
でも、大学生というのは、もう大人ですから。
手取り足取り生活指導はしません。
ただ、講師はクラス全体の運営責任者です。
クラス全体に不利益を及ぼす行為すなわち私語は、どうにかしなければなりません。
クラス全体の運営責任者として
前述のような姿勢を貫いていると、学生たちから「先生はわかってくれてるなぁ~!」という声が聞こえてきたりします。
もちろん、すべての学生に好かれているとは思っていません。
ワタシのようなやり方が好きではない子もいることでしょう。
それでも構いません。
別に、学生個人個人に好かれようとこの仕事をしているわけではないからです。
常に考えていたいのは「クラス全体」です。
と同時に、いつも頭にあるのは
「人にはいろんな事情がある」
ということです。
例えば授業中に頻繁に居眠りしている学生がいたとします。
普通であれば、「授業中に寝るとはけしからん!」となりそうですが、ひょっとしたらその学生は学費の工面に苦労して夜間のバイトをしているのかもしれません。
もしくは、家族の体調が悪くて看病しているのかもしれない。
あるいは、恋人と別れて不眠症になっているのかも。
いろんな事情があると思えば、たいていのことは許せます。
以上、大学で授業をする際にしない方がいいと個人的に考えていることについてお話させてもらいました。
あくまでも個人的な見解です。
当然、違う考え方の先生もいらっしゃることでしょう。
それは、その先生の考え方。
それぞれがしっかりと考えて行動すれば、それでよいと思っています。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。
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