夫婦の糸。思いとどまらせてくれるのは、あの記憶。
夫婦を長く続けていると、「なんでこの人を選んだんだろう?」と過去の自分の選択にはてなマークを付けたくなるときがあります。
これは、ほとんどの夫婦にいえることではないかと思います。
たまに、「結婚してから一度も喧嘩をしたことがない」、「ウン十年間変わらずラブラブです」などという女性もいますが、もう一方が我慢しているからなんじゃないかとこっそり思っていたりします。
そんなわけで、「永遠の愛」だの「仲良しこよし夫婦」というものに対して私はどちらかというと懐疑的です。
「なんでこの人を選んだんだろう?」と疑問を感じているのはもちろん私だけではなく、間違いなく私の夫も思っていることでしょう。
というか、私よりもむしろ夫のほうが頻繁に過去の自分に問いかけている気がします。
そんな私たち夫婦。
ですが、思うのです。
何かひとつ、相手の「心根」「人間性」を深く感じることのできる出来事があれば、夫婦はやっていけると。
夫婦間で不穏な空気が流れるたびに、その記憶を宝箱から取り出し、「いまはめちゃくちゃムカついてるけれど、あの人は本当はこういう人なんだ」それを思い出すことで、夫婦の糸を切る手前で思いとどまることができている気がするのです。
今日は、その「記憶」についてお話したいと思います。
貴船神社にて
いまから約15年前。
当時まだ彼氏彼女の関係だった私たちは、京都旅行に来ていました。
このブログでたまに触れていますが、私は生まれつき足に持病があります。
0歳、3歳、15歳のときに手術を受けましたが完治することはなく、痛みと付き合いながら毎日を過ごしていました。
37歳のときに人工股関節を入れたおかげで、現在は痛みもなく元気に暮らせていますが、京都を訪れたのはその手術の数年前。
頻繁に痛みに襲われていた時期でした。
それでもまだ若かったですし、旅行くらいはしたいと計画を立てたわけです。
京都は何度か訪れたことはありましたが、いつも清水寺や嵯峨野あたりを散策するにとどまっており、貴船方面には行ったことがありませんでした。
涼しそうだし行ってみようと軽いノリで貴船神社を目指した私たち。
ですが、到着してみてビックリ!
この急な階段を登らなければ、境内に入ることはできないようです。
健康な人でもしんどそうな階段です!
(どうしよう。。。)
その場に凍りついていると、彼(現夫)がひょいとしゃがみこみ、自分の背中を指して
「ほれ、乗って乗って😊」
と言っているではないですか!
「いやいや、私軽くないしいいよ!こんな急勾配ムリだよ」
そう言って断りました。
ところが彼は、
「ほらほら、こういってあーだこーだ議論している時間がもったいないよ。大丈夫、腕力には自信があるから」
と腕まくりして上腕二頭筋を見せつけてきました(まぁまぁありました笑)。
(たしかに腕力は必要だけれど、脚力もかなり必要な気がする。。。)
そんなふうに思った私でしたが、思い切って背中に乗っかってみました。
すると彼は猛スピードで急勾配の階段を登り始めたのです!
途中、「大丈夫?」と声をかけましたが、「こういうのは一気にいかないとダメだから」と突っ走っています!
すれ違ったおじいさんに「おぉ~、これは大変そうだな」と言われながらも、彼はスピードを落としません!
登っているあいだ正直ちょっと怖かったですが、私も彼を信じていたのでしょう。
(こういう人は、めったにいるもんじゃないな。。。)
そのとき私はそう感じました。
なんとなくですが、人生の荒波に飲み込まれそうになったときでも、自分を背負って泳ぎきってくれる人なのではないかと感じたのです。
この出来事がきっかけとなって、私は彼との結婚を強く意識するようになりました。
結婚後、このときの話を夫にしたことがあります。
すると、「えらいでしょ?えらいんだよ僕は。なかなかできることじゃないよ?」とめっちゃ自慢げでした(笑)
夫婦を続けていると、「なんでこの人を選んだんだろう?」と思ってしまうこともあります。
めっちゃムカついて、ひどい言葉を投げつけてしまうこともあります。
ですが、あの日の階段での出来事を思い出すと、怒りの気持ちがスーッと引いていくのです。
(この人は、心根のやさしい人だ)
(弱い人間を見捨てることのできない人だ)
そう思うと、やはり夫婦でい続けたいと思えてくるのです。
後から知ったのですが、貴船神社のご利益は「縁結び」だそうです。
間違いないなと思った私なのでした。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
皆さん、良い一日をお過ごしくださいね😊
☘☘☘☘☘☘☘
👑ランキング参加中!応援クリックしていただけると励みになります!
(はてなインターネット文学賞「記憶に残っている、あの日」)