親婚活(親による代理婚活)ってシビアなのね…
何年か前、自分の力で結婚相手を見つけられない子供に代わり、親が婚活をするいわゆる「親婚活」が流行っていると耳にしました。
仕事が忙しく、恋愛をする余裕のない男性や、周りに男性がおらず出逢いのない女性などの親が利用している印象でした。
なぜこんなお話しているのかというと、先日図書館でふと目がとまり読んでみた小説『うちの子が結婚しないので』(垣谷美雨著)のテーマが、「親婚活」だったからなのです。
『うちの子が結婚しないので』垣谷美雨著 あらすじ
この作品を読む前まで、私は親婚活についての知識はほぼありませんでした。
読んでみて、なるほど~と思う点がたくさんありました。
小説なのでフィクションではありますが、親婚活について皆さんに知っていただくため、あらすじを簡単にご紹介していきたいと思います。
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都内のマンションに暮らす50代後半の主婦・千賀子は、一人娘・友美(ともみ)の将来が心配だ。
28歳の友美には、これまで彼氏というものがいたことがない。
親の贔屓目なしに見ても、友美は決してブスなわけではない。
色白で和風顔。ちょっと地味めな感じがするだけだ。
友美は大学を卒業後、アパレル企業に就職した。
毎日店頭に立ち、アルバイトの高校生たちと一緒に販売の仕事をこなしている。
自分と夫が年老いた後、一人娘の友美がどうなってしまうのかが心配になった千賀子は、親婚活に乗り出すことを決意する。
親婚活のシステムはこうだ。
数ある主催者の中からまともそうなところをピックアップし、ネットから申し込むと、パンフレットと身上書が送られてくる。
記入後返送し、何日かすると参加者に関する資料が送られてくる。
参加者の職業、年齢、学歴などが番号順にリストになっている。
子供がいだいている結婚相手の条件と照らし合わせながら、リストに○と×をつけていく。
そして親婚活当日(ひとりあたり参加費は1万5千円)。
机の上に子供の写真と身上書を置く。息子をもつ親は女性側のテーブルを、娘をもつ親は男性側のテーブルをまわり、あらかじめ狙いを定めておいた番号をチェックする。
その後、息子をもつ親は着席し、娘をもつ親が希望する相手(の親)に身上書の交換を申し出る(この点については後述)。
その後、交代で同じことを行う。
身上書を持ち帰り、本人が確認したうえ、会ってみたい人に連絡をし親同伴で会う約束をする。
親婚活・身上書の交換
この作品を読んでいて、私がもっとも「怖い!」と思ったのは、身上書の交換の場面です。
千賀子は娘の写真と身上書をもって、あらかじめ目星をつけておいた男性の親の元へと向かいます。
しかし、すんなりとは交換してもらえません!
友美の写真と学歴・職業を一瞥した相手からは、
「そこまでおっしゃるんなら、交換してもいいですけどね」
「うーん、どうかな。うちの息子にはちょっと合いませんね」
「それでは、一応、交換いたしますか」
といった具合で、反応はイマイチ。
けんもほろろに断られたり、しぶしぶ交換してもらうということが続き、千賀子は娘の全人格が否定されているような気さえしてきてしまうのでした。
しかも、相手がとびきりの男性ならば諦めもつきますが、まだ30代とは思えないほど「オッサン」化した男性たちばかり。
ルックスも学歴も職歴もぱっとしない男性であっても、親が高学歴で医者だったりすると、千賀子親子はとたんに見下されます。
逆に、息子をもつ親から身上書の交換をもちかけられる段になると、友美が希望するような条件の男性(の親)からはまったく声がかかりません。
寄ってくるのは、
- 自分の好みで嫁を選ぼうとしているエロジジイ
- 端から二世帯住宅に同居することを匂わせてくる親
- 超のつく偏食である息子の食事の世話が疲れたから、バトンタッチできる嫁を探したいという親
- 独り暮らしの息子の家がほこりだらけだからお嫁さんを探したい親
この人たちは、可愛いひとり娘の友美を家政婦代わりにしたいのかと憤りを感じる千賀子。
その後、希望に沿う男性と身上書を交換することができていたのは、美人で高学歴・高収入の女性ばかりだったということを知った千賀子は、ただただ愕然とするのでした。
親婚活には傷つく覚悟がいる
恋愛結婚とは違い、あくまでも相手の「条件」を重視する親婚活。
『うちの子が結婚しないので』を読んでいて、これは親も子も相当傷つくだろうなと思いました。
男性側が重視するのは、女性の年齢・容姿ときて、その次が収入。
男性はとにかく女性の年齢と見た目にこだわります。
作品中、顔と胸を整形している女性の母親が登場しました。
その女性は一度離婚しているので、それくらいしないとダメだと考えたようです。
案の定、その女性の巨乳写真を見た父親(男性の父親が参加しているパターン)は、やに下がった顔をして身上書を受け取っていました。
容姿は十人並みの友美が、子供の頃から勉強や部活などに力を入れたりせず、見た目だけに気を配っておけばよかったと愚痴をこぼす場面があります。
なんだか切なくなりました。
果たして、千賀子の親婚活は成功するのでしょうか?!
とっても面白かったので、気になった方はぜひ読んでみてください。
うちの娘はまだ大学生なので結婚などまだまだ先のことですが。
この本をソファに置いていたところ、タイトルが気になったのか、
「これ、面白いの?どういう話?」と珍しく尋ねてきました。
ストーリーをかいつまんで説明すると、真剣な顔で聞き入っていました。
「不安だなぁ。私は職場でいい人を見つけたいんだけど。がんばらなきゃ!」と言っていました。どうやら結婚する気はあるようです😊
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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